評価のマネジメント|評価への納得感を高める方法

人は評価されたい生き物

あなたの会社、組織では、どのようにして部下にとって納得感のある評価をされていますか?


「他者から認められたい、自分を価値ある存在として認めたい」

承認欲求は、人間の根源的な欲求の1つです。


仕事において、頑張った分はちゃんと評価されたいというのは、誰しもが思うことでしょう。

一方で、目標達成しても評価が変わらない、何を頑張ったら評価されるのか曖昧など、評価への不満の声が絶えないのも事実です。


今回は、評価への納得感を高める方法について考えていきます。


マネジメントに役立つ資料をまとめてダウンロード

評価制度だけではメンバーの納得度は上がらない。運用する管理職も重要。

MBO、OKR、360度評価、コンピテンシー評価・・・

最近では、期末や年度末にABCDといったランク付け評価をしない「ノーレイティング」という新たな制度も出てきています。

各社それぞれの考えに基づいた評価制度を導入されていますが、特定の制度を入れたからといって社員の評価への納得度が高まるわけではありません。


評価への納得感を高めるには、制度を作るだけでは不十分です。会社の思想にあった制度を選ぶことも重要ですが、同じくらい重要なのがその制度を運用する現場管理職の役割です。

いかに素晴らしい制度でも、現場がその意図を汲み取り、適切に運用しなければ、評価への不満は発生します。


マネジャーが意識すべきコンプライアンスのポイント

評価への不満が発生するメカニズム

評価への不満は、自己評価と会社評価のズレから生じます。


自己評価=会社評価は、評価への納得感が高い理想の状態です。


自己評価<会社評価は、部下にとって思ってたより高い評価です。

評価が高くて不満という人はほとんどいないので短期では不満は出ません。

しかし、そこそこの仕事で高い評価がついたという経験から、次回も同じくらい高い評価を期待するようになり、長期で見ると悪影響があります。

部下の自己評価より会社評価が高かった場合も、なぜ今回評価が高かったのか、その理由をしっかり説明しておくのが賢明です。


自己評価>会社評価は、部下にとって思ってたより低い評価で、不満を感じやすい状態です。

一般的に、自己評価は高くなりがちです。

心理学用語で「平均以上効果」と呼ばれますが、主観評価と客観評価ではおよそ20%主観の方が高くなると言われています。

もちろん評価が低くなる要因はこれだけではありませんが、「自己評価は高くなりがちである」ということは念頭に置いておきましょう。


ここまでは、概念的に評価への不満が起きるメカニズムを考えました。以下では、より具体的に運用の中で発生するギャップについて説明していきます。


テレワークのマネジメント|行動コントロールから結果コントロールへ

評価の不満につながるよくある原因

不満の理由として最も多いのが、評価理由の曖昧さです。

多くの会社が業績達成率など定量的に測れる項目だけでなく、定性的な情報も加味して評価をしています。

この定性的な情報には、上司の解釈が多分に反映されるため、曖昧さが生じるのは必然です。


こうした曖昧さを減らしていくことが、評価の納得感を高めます。

以下では、よくある3つの原因を紹介し、解決策を考えていきます。

① 目標設定があいまい

多くの会社がMBO(目標管理制度)を導入しているため、目標設定と評価はセットで語られることが多いです。

この目標設定が曖昧だと、上司と部下の間で目標達成の基準が定まらず、自己評価と会社評価のズレにつながってしまいます。


例えば、「顧客満足度を高める」という目標を立てたとします。

評価をされたい部下は、ある顧客から感謝の言葉をもらったエピソードで「満足度は高まった」とアピールするかもしれません。

一方、上司は、そんなのは誰でも1社くらいあり、他の顧客への対応も踏まえて総合的に判断するのが当たり前と考えると思います。


できるマネジャーは、目標設定のタイミングで、曖昧さを極力排除します。

「目標設定はSMARTに」と言いますが、S(具体的に)、M(計測可能な)、A(達成可能な)、R(経営目標に関連した)、T(時間制約がある)を満たすような目標設定になっているかきちんと確認し、部下と達成基準のすり合わせをしておきましょう。

② フィードバックタイミングが遅い

あなたの部下は、期初に設定した目標を日頃から意識できていますか?

目標設定のスパンは会社ごとに異なりますが、年に1回や半期に1回の実施が多いと思います。せっかく目標を設定しても、半年や1年意識せずに過ごしていたのでは意味がありません。

また、評価の場で初めて上司との評価のギャップに気づいたとしたら、それは大きな不満に繋がります。

上司から「もっとこうしたらよかった」と評価を伝えても、部下は「もっと早く言ってくれれば改善・修正できたのに」とフィードバックタイミングの遅さに不満を持つでしょう。


どんなに良い目標設定をしたとしても、ビジネスの状況や会社の方針変更など期初とは環境が変わってしまうことは当然起こり得ます。

目標設定をマネジメントに有意義に活用するためにも、評価の納得感を高めるためにも、定期的に部下と目標について話す機会を設けましょう。

月に1回程度「期初に立てた目標は達成できそう?」など問いかけてみてください。

1on1ミーティングとして、定期的な予定を設定しておくと実行しやすくなります。


▶︎ 関連コラム: 1on1ミーティングとは1on1ミーティングの続け方

③ 評価タイミングでの説明不足

目標設定と評価は個別に面談を実施している企業が多いですが、これから頑張ろうというタイミングの目標設定面談に比べ、評価面談はきちんと実施されないケースもあり、評価理由を説明されないという不満の声も聞かれます。


また、悪い評価の場合の伝え方には、十分に注意が必要です。

前述したように、人は自己評価を高く見積もりがちなので、きちんと説明を行わないと著しく意欲を下げてしまうリスクがあります。

以下を参考に、悪い評価の場合でも意欲を上げるコミュニケーションを心がけましょう。


意欲を下げるコミュニケーション

  • ダメ出しのみでアドバイスがない
  • プロセスの評価(承認の言葉)がなく、結果のみで評価されていると感じる
  • 対話がなく、一方的に評価だけを伝えている

意欲を上げるコミュニケーション

  • 承認の言葉:「〜〜については良かった。努力をしていたと思う。」
  • 成長に向けたフィードバック:「〜〜が不足している。次の評価までにここまで成長してほしい。」
  • 対話:「自分ではどう振り返ってる?」(一方的に評価を伝えるのではなく部下の意見も聞く)

いかがでしたでしょうか?

評価に関しては、制度自体の良し悪しで語られることが多いですが、制度運用を担うマネジャーの役割も非常に重要です。

マネジャーのコミュニケーションの意識一つで、評価に納得するか、不満を持つか明暗が分かれるといっても過言ではありません。

何か1つでも新たな気づきがあれば、ぜひ部下とのコミュニケーションを見直してみてください。

withコロナの管理職に求められる権限委譲とは?|権限委譲のマネジメント

新型コロナウィルスによりあらわになるマネジメント力

新型コロナウィルスによる世の中の変化は、奇しくも管理職のマネジメント力をあらわにしました。

マネジメントができていなかった管理職は、リモートワークになった途端にチームのコントロールができなくなり、マネジメントの要諦を理解している管理職はリモートでのマネジメントに適応しています。

従来から批判されることも多かった、パワーマネジメントや飲みニケーション、管理型のマネジメントは、その力を失いました。

そして、自分ではマネジメントができていると誤認していた管理職が、リモートワークになった途端にどうしたらいいか分からない、と不安を抱いています。

このことは、中々変わらなかった日本型マネジメントが変わるチャンスと好意的に捉えていますが、一方でその変化に対応できない管理職が多いことも事実です。

今回は、withコロナ時代のマネジメントで必須となる権限委譲について考えてみます。


マネジメントに役立つ資料をまとめてダウンロード

日本の旧来型マネジメントは力を失った

新型コロナウィルスの影響で一度リモートワークを経験したことにより、労使それぞれの思惑から働く場所の柔軟性を高める流れは止まらず、今後はオフィスワークとリモートワークが混じっていくことが予想されます。

企業としても、新型コロナウィルスの第2波や、同じようなパンデミックに備えて、リモートでも事業が回る体制作りに奔走しています。


物理的距離が離れていることで、パワーマネジメントや管理型のマネジメントは機能しなくなりました。

飲みニケーションは実施自体が難しくなり、従業員はより自由になりました。

マネジメント方法を変えずにリモートワークに対応しようとしている企業では、常時Zoom接続で監視をしたり、緊張感を持たせたりしていますが、これは従業員へ信頼していないサインを送っているようなもので、やる気を削ぐ行為です。ストレスを与えるだけで、エンゲージメントや生産性が低下することは目に見えています。


withコロナでは、部下の自主性に任せ、彼らが主体的に仕事をする状況を作ることが必要になります。

しかし、部下が自由に仕事をするだけでは、食い違いが生じたり、結果の認識が異なったり、チームとして機能しなかったり、様々なすれ違いが発生してしまいます。

そこで重要なのが、「目的の共有」「権限委譲」です。

権限委譲のためには目的の共有が必須

部下に任せる(権限委譲)ためには、目的の共有をきちんと行うことが必須です。

上司や組織が期待する結果に向かって、部下が適切に意思決定して仕事を進めるためには、進む方向の指針となる目的・目標を共有しておく必要があります。


※目的の共有や目標設定の具体的な方法についてはこちら。
▶︎ 関連コラム:目標設定のやり方


これまでは、一緒に働くことで、仕事の過程で事細かに指示や指摘ができたため、目的の共有がなくても進む方向は逐一指示でき、軌道修正も簡単でした。

しかし、リモートワークでタイムリーな情報把握は至難の業です。また、オンラインでの頻繁な確認は部下のやる気を削いでしまします。

これからは、部下にこれまで以上に自分で判断して仕事を進めてもらわなければなりません。


目的の共有ができており、上司と部下で向かう方向が同じであるならば、あとは手段の問題になります。

これまでは、あなたの考える方法を部下に指示していたかもしれません。

ですが、山の登り方は複数あることが普通です。

目的が共有できているのなら、仮に手段に対する考えが異なっても「自分だけが正しいわけではない」とぐっとこらえて部下の話を聞き、任せてみる。

あるいは、お互いが納得できるような着地を見出す。

このような部下を尊重する「権限委譲のマネジメント」が、これからの時代は必要になります。


注意点としては、部下に任せて良いのは、手段の部分であって、目的や目標ではありません。

いくら管理が難しくなったとはいえ、目的や目標まで任せてしまっては、共通のゴールに向かえなくなりますし、部下が出してきた成果を違うと差し戻すことになってしまいます。


はじめは権限委譲するのが怖いかもしれません。管理職からよくお聞きする声です。

ですが、自ら仕事の進め方を意思決定した部下は、きっとこれまで以上のパフォーマンスを出してくれるはずです。

部下との対話を通じて権限委譲を

部下のやろうとしている方法は、あなたから見ると、少し効率が悪いように感じるかもしれません。

人は異なる意見に対して、違いにばかり目が向いてしまう生き物です。

これまでパワーマネジメントや管理型のマネジメントをしていた管理職からすると、異なる意見にイラつくこともあるでしょう。

しかし、部下も、顧客やチーム、会社に対し貢献したいのです。

目的はあなたと何ら変わりません。

権限委譲を活用し、withコロナ時代の強い組織をつくりましょう。